case 内視鏡の実際

大腸ポリープ(早期ガン1)

大腸内視鏡検査で、キノコ型の大きな有茎性ポリープが発見されました。
このような大きなポリープでは、一部にガン化していることが多く、実際にガンの存在が疑われる部分がみられました。

これだけ茎が太いと、ポリープに栄養をおくる血管が中を通っており、切除後出血の原因になりえます。

このためにまずは、ナイロン製の「留置スネア」でポリープの基部を結紮(けっさつ:しばること)し、血流を遮断します。

次に、輪になったワイヤーの「スネア」によってポリープを捕捉・絞扼(こうやく:締め付けること)します。

「スネア」に通電し高周波にて切除します。写真は、切除後のものですが、ほとんど出血は見られません。

切除されたポリープと切除断端。

念のため、「クリップ」という金属で基部を結紮し出血を予防します。最後に、切除したポリープを回収します。
このポリープは病理組織検査にて一部にガン化が認められましたが、ガン病巣を含め完全に切除されており、追加治療の必要はありませんでした。

大腸ポリープ(早期ガン2)

大腸内視鏡検査で、表面が結節状を呈する平坦な形の大腸ポリープが発見されました。
写真は、ポリープの形態が良く判断できるようにインジゴカルミンという色素を散布した後のものです。
このポリープでは、一部にガン化している部分が疑われました。

平坦型のポリープはキノコのように飛び出たポリープではないので簡単には取れません。
まず、「局注針」という針を内視鏡の先端から出し、ポリープの根元の部分を穿刺(せんし:血管・体腔内や内臓に注射針を刺すこと)します。

穿刺した「局注針」から生理食塩水を注入してポリープを盛り上げます。

次に、盛り上がった病変部分を、輪になったワイヤーの「スネア」によって捕捉・絞扼(こうやく:締め付けること)します。

「スネア」に通電し高周波にて切除します。
写真は、切除後のものですが、ほとんど出血は見られません。

念のため、切除後の粘膜欠損を縫縮する目的で「クリップ」という金属で傷口を閉じます。

最後に、切除したポリープを回収します。

このポリープは病理組織検査にて一部にガン化が認められましたが、ガン病巣を含め完全に切除されており、追加治療の必要はありませんでした。

胃ポリープ

胃内視鏡検査で、胃前庭部(十二指腸への出口付近)にキノコ型の大きな有茎性ポリープが2個発見されました。
胃ポリープの場合、切除が必要なポリープの頻度は多くありません。
しかしながら、このような大きなポリープでは、ガン化や出血の原因となることがあるため、切除の対象となります。

写真は、ポリープの形態が良く判断できるようにインジゴカルミンという色素を散布した後のものです。

次に、輪になったワイヤーの「スネア」によってポリープを捕捉・絞扼(こうやく:締め付けること)します。
「スネア」に通電し高周波にて切除します。

写真は、2個のポリープを切除した後のものです。
手前のポリープを切除した際にわずかに出血がみられたため、念のため、「クリップ」という金属で切除部を結紮(けっさつ:しばること)し止血しました。

写真は、切除後1ヶ月のものです。
「クリップ」は自然に脱落しています。ポリープ切除を行った部位は平坦化し周囲の粘膜と同様な状態となっています。